ワールドカップ ただいま加熱中

ラグビーワールドカップ ただ今加熱中。

 東京スタジアム(味スタ)に向う京王線。黄色と赤に彩られる。
秋の紅葉の趣とは程遠い、対立するギンギラの二色
黄色い軍団は、オーストラリア(ワラビーズ)そして赤はウェールズのサポーターだ。IMG_0477

  サポーターというほど生易しいものではない。四年前から仕事の調整をつけて、有給の準備をして、2、3週間の休暇をとり、チケットを入手して、遠く海を渡ってやって来る。大枚をはたいて、この4年に一度のW杯に賭ける、それはクレイジーなほどにラグビーを楽しむファン、そしてもはや使命感に燃える国民義勇軍なのかも知れない。

 IMG_0481 駅からスタジアムまでの沿道、そこかしこでビール片手に、輪になって口角泡飛ばす外国人たち。日本人と違い、車座にはならないようだ。黄色と赤中心だが、よく見るとタータン柄のスカートを巻いたスコットランドのサポーターや、海賊の格好をしたコスプレウェールズ応援団もいる。遠目でレプリカジャージと思いきや、全身ペイント仕立ての観客も。もう、日本が混ぜこぜになっている。稀有で面白い風景だ。

  我がジャパンチームも似たように混ぜこぜだ。生粋の日本人はわずかで、サモアやニュージーランド、南アフリカ出身などと、バラエティに富む。でも皆、君が代を謳い、日本を背負って、死にものぐるいでプレーする。もともとラグビーは多様性をもつスポーツに違いない。小ちゃくて小回りが利く奴、とにかく足が速い韋駄天野郎、壁のようにデカすぎる奴、そんな奴らが混ぜこぜに、与えられた役割を果たす。チームのために。このラグビーの多様性、そしてこの外国人と混ざった調布の街のグチャグチャ感、これらは将来のグローバルな日本の姿を示唆するものかも知れない。 こんな結束の仕方、こんな混ざり合い方、それはきっとダイナミックで楽しいものになる。

 IMG_0478 この黄と赤、地球の北と南、寒いところと暖かいところ、随所に国民性の違いが感じられる。 オーストラリア人は開放的でフレンドリー、電車で隣に 座ったオーストラリア人と馬鹿話の弾んだこと‥‥、とうとう彼は手に持っていた安物の破れたコアラのゴム製のお面をかぶり始めると、電車の中に笑いの渦が巻き起こる。いい歳して、外国まで来て何やってんの? 「いいじゃねえか、4年に一度のお祭りでぃ。」全身でそう言ってるように楽しんでいる。

   一方でウェールズ人のイメージは、質実剛健で真面目、田舎のでっかいジッちゃんって感じだ。この赤いウェールズのサポーターがスゴい。高らかに大声で謳いまくる。そこかしこの赤シャツがたちがすぐに大合唱になる。ビール片手に、隣同士肩を組んで、皆んな声を揃えてスタジアム中に轟き渡る。「ウェー ウェー」とこもった咆哮、美しい旋律の賛美歌「カロンラン」ウエールズ出身のシンガー 《トムジョーンズ》 の「デライラ」、そして国歌「ランドオブマイファザーズ」、次から次へと歌が産まれていく。さすが歌の国ウエールズだ。ピッチの選手たちはこの応援歌でどれだけ闘志を鼓舞されることだろう。

  プレーにもそんな国民性が出る。ポンポン調子よくボールを繋ぐが、肝心な時にミスが多いワラビーズ、前へ前へとにかく真っ直ぐ進むウエールズ‥

  このラグビー、その昔農民たちが豚の睾丸に詰め物をして、村の外れのゴールまでそのボールを競って運ぶという自然発生的な遊びがルーツという。前に進むスポーツで、 ボールを前に投げられない不思議なスポーツ、屈強な生身の人間たちがコンタクトプレーをするスポーツ、何かが他とは異質である。

   ラグビーはおもしろい、そしてワールドカップはおもしろい。

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