《成蔵》で昼ご飯。
初めて見る白いトンカツだ。揚げるのを忘れたわけではない。(笑)
この日のロースは東京X、ヒレとシャ豚ブリアンは煌麦豚(きらむぎとん)というブランドだ。
噛むと滴りあふれる油の上品で甘く美味しいこと。ベビーオイルだといわれて乾燥した踵によく擦り込んでといわれても信じてやってしまいそうだ。笑
パン粉が美味しくて 思わず散り残ったパン粉だけの皿をきれいに食べて掃除してしまう。
110度の低温で、20分ほどじっくり静かに揚げる。取り出して10分寝かして中心まで余熱を通す。店主の試行錯誤の結果生まれた調理法だ。
「とんかつ」というジャンルより、別の新しい一つの食べ物という感じだ。côteletteががカツとして日本で定着したように日本発「ナリクラ」が世界に逆輸入されてもいい。
やはり革命的だ。
食べた後、物理的な満腹感だけでなく至福感が持続する。
完全予約制のこの店、住宅街で営業する人気店の宿命だろう。
《成蔵》のある南阿佐ヶ谷から西にひと駅行った荻窪には《たつみ亭》がある。店の雰囲気も値段もふつうだが、美味しいトンカツだ。
私「とんかつの旨さは何で決まる?」
店主「70%が肉の質 あとはパン粉 そしてラードです。」
競馬も馬が7、騎手が3と聞いたことがある。話は違うが、数字の割合は同じだ。
店主はさらにトンカツを語り始めた。とんかつ屋の親父は概して、《トンカツ文化》を語ってくれる。黙々と段取りをこなす職人だが、どうして人懐っこい人が多い。
以前行った別のとんかつ屋では、ロースとヒレの違いについて食後に20分講義が始まった。ホワイトボードに豚さんの絵を描き、(あまり上手ではなかったと記憶するが)一頭の豚からとれるヒレはロースの6分の1、だから値段は6倍になって当然、つまりロースとヒレの値段が同じであれば、ヒレの肉質を下げてる‥‥とか、途中からとんかつ屋の裏情報みたいになってきた。笑
たつみ亭では、青森と鹿児島の豚を使っている。例えば黒豚といっても、豚は一度に10頭くらいの赤ちゃんを産むので、出来がいい子や失敗作やらいろいろいるので、ブランドといっても牛や馬のように血統が厳密でないとも店主は語る。
最近はダイエットのことを気にしてヒレを頼むことが多いが、店主はロース中心のいわゆるとんかつ定食を勧める。肉の脂肪分の甘さや旨味が醍醐味だからだろう。そしてとんかつにするとヒレの方が油分を吸収するので、ほとんどカロリーに差がなくなるらしい。
これからは太らない呪文を唱えてロースを頂こう。 「アブラカダブラ‥‥」
お後が宜しいようで
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