「きびしい キビシイ」ー大学入試の地殻変動 (文科省の施策)
「厳しい 厳しかった」
多くの大手予備校や高校の進路報告会や入試分析のセミナーで、教師や担当者の唸りを耳にします。
今まで合格していたレベルの生徒が不合格になったり、補欠合格になる生徒が増えているのです。実力より高めの志望校だけをチャレンジした場合、止むを得ず《浪人》です。
塾でもここ数年、同じように実感することが多くなっています。
都内(23区内)にある大学で、《募集定員数に対する入学者数の割合》を厳格化する文科省の施策が、2016年以降段階的に実施されています。東京への一極集中を緩和し、地方活性化を促す意図です。要するに、定員以上を水増し入学させた場合、国からの補助金がなくなり、大学が経営の危機に瀕するようになるという「経済制裁」です。
例えば、入学定員8000人以上の大規模な大学は、2015年度までは、入学者が定員の1.2倍を超えなければ補助金の対象でしたが、2016年以降、段階的に厳格化され、2018年度には1.1倍以内が対象の基準です。さらに、2019年度以降は、1倍を超えて超過した分だけ減額され、0.95倍~1倍であれば逆に増額することが予定されています。入学定員の規模に応じて、大学を三区分に分けて、補助金の対象条件を細分化しています。
今 何かと話題の日大は、入試定員が最も多く約6万人の大学です。例えばこの大学が、1.2倍の入学者を1倍にしたとすると、従来に比べて12000人の不合格者が出ることになります。5万人の早稲田大学をはじめとして、定員の削減(定員の保持?)は大きな社会問題であり、受験生にとっては人生を左右する大問題です。
第一志望の早慶からはみ出した受験生が、MARCHを受験し、さらにMARCHを第一指導とする受験生は、それからはみ出して不合格になります。ほんの数点の差が決定的になります。来年度もこの削減は続きます。いっそう志望校の現実的な選択が問われます。