教育コラム 雑感
ーこんな笑顔見たことない!
〈受験が終わると顔が変わる〉
いつもながらの実感だ。受験が終わって報告に来てくれる小学生の彼らの顔がそれまでと全然違う。あのヤンちゃなアイツもこんな柔和なきれいなお顔だったのかと思う。
彼らが自然体で「受験」を受け入れることができるのもこの塾の存在価値だという自負はあるが、それが見事に打ち砕かれる瞬間だ。ある種の拘禁状態に置かれていたのだろうか。そして私たちは看守だったのだろうか。自由を犠牲にして、明日の課題に追われて、「落ちたくない」「もしダメだったらどうしよう」ー彼らなりに重荷を背負って歩を止めずにここまで来たのだろう。
〈ふつう〉にもどる。
「お疲れ様」と心で呟く。
いつも‥‥もう三十年近く続いているかも知れないことだが、卒業そして進学にあたり、ささやかな茶話会を催す。
今年は子どもたちからプレゼントを頂いた。
A先生にはハンコのプレゼント。〈よくできました〉とか〈もう少し頑張って〉とか、いわゆるセンセがよく使うスタンプだ。それが勇猛な戦国の武将たちのそれときた。A先生も職業柄この手のには目がないそうだが、このレアものには大感激。「いざシュツジーン! えいえいオー‼︎」と勇ましい先生のイメージを武将に重ねたのかも知れない。
B先生にはチョークケース。とにかく先生は黒板によく書く。プラスチックの使い古したチョークケースがみすぼらしくて気がかりだったのだろうか。
今はプレゼントの綺麗なケースにチョークを格納して得意げに教室に向かう。
「C先生は?」と聞くと「指示棒!」と答えた。
C先生は、指すは指すは‥‥、指や、手で。
だからいつも手はいつも真っ白け
きっと子どもたちは見ていられなかったのだろう。
何をプレゼントしようか、きっとケンケンゴウゴウやったに違いない。きっと先生たちのことをイジって、みんなで大笑いしたに違いない‥‥。
ありがとうね、だいじに使わせて頂きます。
まあ、みんなが楽しく有意義な学校生活を送ってくれるのが一番のプレゼントだよ‥‥。
と、好好爺のようになってしまう今日この頃でした。