2022 今年の受験概況(大学入試)
ー導入2年目の共通テスト
新たな学力観に基づいて、知識重視ではない思考力・判断力・表現力を図る目的で、センター試験に代わり導入された共通テスト(大学入試共通テスト)が今年で2回目を迎えました。このテストは国公立志望の受験生にとっては必須で、多くが大学独自で実施する二次試験と併せて評価します。一方私立大学では、選抜方法の一つの枠としてこの共通テストの合計得点で評価し合否を決めています。したがって大学受験生のほとんどがこのテストに参加します。
導入当初、センター試験より平均点が下がるという予想に対して初年度は例年並みでしたが、今回、その本性を現した感がありました。前身のセンター試験を通じて平均点が過去最低点となったのが、「数学Ⅰ」「数学ⅠA」「日本史B」「生物基礎」「化学」「生物」「フランス語」の7科目にも及び、過去最低ではないものの「数学ⅡB」も過去30年の中でワースト2となっています。「数学Ⅰ」は100点満点中平均はわずか21.89点です。いわゆる理系科目中心に平均点の大幅ダウンの中、特に『数学ショック』といわれるのが今回のテスト結果の状況です。平均点の違いによる得点調整は、同教科内で科目ごとの平均点の差が20点以上の場合のみ対象となるため、例えば社会と数学が選択できる大学入試の方式などでは、この平均点の差が決定的に不利になるケースもありました。
来年は今年の反動で、やや平均点が下がる傾向に作問されると予想されますが、この共通テストでは深く多面的に考え、それを迅速に処理するスピードが求められているのがです。学習の質と量を見直すチャンスとしましょう。
さらに2025年、指導要領変更の節目である現在の高校1年生が受験のときから、新たに「情報Ⅰ」が加わり、共通テストは現行の5教科7科目から6教科8科目へ増えます。今後国立大学や私立大学がどの科目をどのように利用するか動向に注意していくことが必要です。