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教育コラム 雑感ー「禁句」




別に大学付属校が悪いわけじゃないけれど

 小2から大手中学受験予備校に通い、いろいろな意味で「ついていけず」他塾に転塾したのだけれど、成績もだんだん下降気味、モチベーションも低下(反抗期とも重なっているようですが)‥‥、そんな受験生の男の子のお母様から相談がありました。

  お母様の話では、お父様が彼に何とかやる気を出させようと、こう言ったそうです。「大学付属校はいいぞ。もちろん高校受験はないし、大学もエスカレーターで行かれる、つまり楽ができるというわけだぞ。」と。
  彼も「よしそれなら‥‥」としぶしぶ、某付属校を目指して受験勉強を続けているということでした。


  私は心の中で呟きます。「あら、またきたか‥。」


  この《甘えの構造》はなかなか難しいのです。甘えの構造? そう。お父様が、子どもに「楽をして生きていきなさい」、そして「それを全面的に親が応援する」と宣言していますよ。
結果オーライではないか、一見、モチベーションを維持し、やる気にさせた巧みな人心掌握ではないか?
  もちろん《短期的には》奏功する場合もあるでしょう、しかし結局、長い目で見るとマイナスに作用するのです。中学に入ってゲーム三昧で勉強しなくなる、大学受験でもメンタルな弱さを露呈する‥‥結局今まで、根っこの部分で、親がそういう風に甘えを許容してきたことを想像すると、勉強も含めて、自立していくこと自体を難しくしてしまうことになると思います。


 10年間、一つのカラーの学校に属すること自体、一般の基準では不自然なことです。付属校の生徒は、進路の選択の時に、「将来何をすればよいか」ではなく、この成績なら「どこの学部だったら上(大学)に行かれるか」という選択をすることも少なくはありません。それで済んでしまうからです。
もちろんその学校の校風や教育理念こそ愛すべきものと感じたり、スポーツなどにエネルギーを集中したいなど、大学付属校を選択する場合もあって当然だと思いますが、節操なく「付属校に行けば‥」と誘導するのは、やはり《禁じ手》だと思うのです。

2017.02.21更新|MJ通信