教育コラム 雑感
ー中学入試 3日間の完全燃焼
1月30日土曜日の授業。一人の生徒がこう呟いた。
「3年生からやっているんだよ。落ちたらヤダよ!」吐きださなければ気がすまなかったのだろう。誰に対してというわけではない。最後の授業の終わり際のこと。受験生の本音だ。年が明けてから、ずーっとこもって最後の力を振り絞ってきた。でも過去問をやると、時にズタズタにされる。「ダメじゃないか?」「いやもしかしていけるんじゃないか」‥‥。日々気持ちの振幅を繰り返す。それはそれはメンタルがキツい。逃げなければその分だけ。
「たった10秒のために何十年もかけるアスリートもいる。0か100というわけではないはずだよ。頑張ってきた意味はあるよ。」と私はそれだけで言葉を切る。彼女は「理屈」がほしかったわけではない。決戦前々日に理屈を言っても仕方がない。キッと前を向くために吐き出さざるを得なかったんだ。
数日前には別の生徒が「あーもう疲れたよ。とにかく早く終わって欲しいだけ」とこぼした。
因果な仕事だと思う。だけど、だからこそ隣にいてやらなければと改めて思う。
決戦前日、1月31日 日曜日。
もうウン十年になるが‥‥、いつものように入試の諸注意に加えて、スタッフ全員で壮行のメッセージを送って、みんなを送り出す。
気になっていたので、少しだけ話すことにした。皆に向かって。
「誰かが〈3年生からやっていたのに‥‥〉と言っていた。」
「でもみんな3年生からやってるよ。早い人は生まれてすぐからね 笑」
「今日まで受験勉強を続けてきたことで、すごくたくさんの知識やいろいろな物の見方が身についたじゃないか。それは絶対に次のステップにつながっていくよ。万万が一、今回の受験で失敗してもね。」
まああとは檄を飛ばして、「頑張れ!」の連呼くらい。さすがに鉢巻はいやだ。(笑)それぞれが静かに受験に向かい合えばいい。
初日に結果報告がなかったあの生徒からの電話。合否発表を自分は見ず、聞かずに本番に集中したらしい。
泣きながら
「◯◯中学と⬜︎⬜︎中学 リョーホー うーかりまーしたー」
「そっか!よくがんばったよ おめでとう!」
スタッフみんな代わる代わる電話に出る。感激で言葉が途切れる。鼻水も流れる。笑
ふと頭をよぎる。〈ダメだったらどうなったろう?〉
いやその子だけじゃなくて、誰かが同じ気持ちで挑んだが、報われず、落胆した子もいるはずだ。
ゆっくり休んで。そしてまた戦う時が来たらがんばって!
自分との戦いね。