ギフテッド‥確か知能指数が高い人々が会員となれる世界的な団体の名前もこれだった。「才能を授かった」意味だ。
7歳の数学の天才少女メアリーと六年半彼女を育ててきた叔父のフランクの、とある朝の風景で始まる。彼は元教師だが、今はマリーナの近くのボロ屋に住むうだつの上がらないボートの修理工である。メアリーは、祖母、母と脈々と続く天才のDNAをもつがゆえ 「ふつう」に生きることはむづかしい。学校も退屈すぎるのだ。
メアリーは、大学教授の前で 、黒板に出された数学の問題の間違いを指摘し、淡々と直した後で、止まることなくどんどん解き進んでいく‥‥最後にゆっくりとQED(証明を終わるサイン)と記す。圧巻である。あくまで、数学好きの私にとってであるが‥(笑)
珠玉の短編だ。ずっと鼻水が止まらない。(苦笑) その才能ゆえ、ともすれば偏ってしまう生活や人格、フランクは姉の意志を継いで「ふつう」を守る。しかし、人類にとっての共通財産でもある少女の類まれな才能を「ふつう」という殻に押し込めていいものか、フランクには確信があるわけではない。
アメリカ流法律裁定の奇妙な感じも禁じ得ない。人にとって何が幸せかを法律が決めることの限界もみせてくれる。血が繋がっている本当の親、育ての親、里親一体何が親子の絆であろうか。
仲良く車で帰る二人と一匹 フランクは言う。「我思う 故に 我あり」デカルトの有名な言葉だ。フレッドは哲学の准教授だったようだ。メアリーが言う。「それって当たり前のことじゃん。」「フレッド思う 故にフレッドありじゃん」と返す。
子役も可愛い、”歴史上一番すごいネコ”の独眼竜フレッドも愛すべきキャラクターだ。一つ一つのセリフが上質だ。こんな映画を観ると時間を得した気分になる。寿命が2時間延びた感じだ。
監督 マーク・ウェブ
脚本 トム・フリン
フランク クリス・エヴァンス
メアリー マッケナ・グレイス
イブリン リンゼイ・ダンカン
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