「光合成」に生かされて
ー新緑の入間

 1年前に園芸店のセールで買った鉢のギンバイカ(銀梅花)がどんどん葉を落として元気がなくなっていった。今年の春、根のようすを見ようと土を取り出すと、中に34センチの幼虫が10匹くらい、居心地よさそうに不法占拠していたではないか。根も痩せ細ってしまっている。あれあれ‥‥、どうりで。かれらにはお引き取り願って、もうダメかもしれないが、あらためてひとまわり大きな鉢に新しい土とともに植え替えてみた。

 この新緑の季節、ボコボコっと、小さいきれいな新芽がいっぱいついた。復活したかな、よかった。いつか、あの梅に似た白い花が咲き、青い実がなればいいなぁ。今は、そのまだ小さい葉っぱたちに、「しっかり光合成するんだぞ」と激励しながらたっぷり水をやっている。


 先日、入間のアウトレットに行った時のこと。そびえるヒマラヤ杉の根もとのベンチまわりの一連のながーいロゴに目が止まった。

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 光合成の式だね。つい先日、この式について生徒に質問されたばかりだ。

 二酸化炭素と根から吸い上げた水からデンプンと酸素をつくる。光のエネルギーを利用して葉緑体でする植物だけができる営みだ。当たり前だけれど、ぼくたち人間をはじめとしてすべての動物たちは、かれらのつくるでんぷんを食べてこそ生きられるし、かれらが放出する酸素で呼吸できる。

「しっかり光合成しろよ」と言うと、かれらは

「わかった。しっかり生きろよ!」と返してくれているのかも知れない。

 東京ドーム約2個分に及ぶHOYAの工場跡地を開発して2008年にできたこの三井のショッピングモール、テーマは、癒しと憩いを与えてくれる〈森のリズム〉という。この辺りの緑豊かな武蔵野台地の風景のイメージと重なる。杉の隣にも切り株のオブジェがある。その上の開いた本にシンプルなしりとりが書かれている。ふと、時間が止まる。

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 この時期の入間近郊は、そこかしこと刈り取り後の茶畑だらけ。新茶の季節だ。

 0CBD47F9-3CA5-4D83-A6CA-A81004508E53アウトレットの帰り、小手指駅近くの〈新井園本店〉に寄り、狭山茶を頂く。急須から注がれる一杯目の新茶は淡くフレッシュでいい。でも最後の3杯目も甘く苦くねっとりして、これがまたいい。

 植物に生かされ、楽しませてもらう。

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